人事録

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新卒入社試験の「受験料」制度

ドワンゴが今年も入社試験の受験料制度を採用

お金ドワンゴは2014年11月12日、新卒の入社試験の有料制度を今年も実施すると発表しました。
近年、就職活動ではインターネットの就職情報サイトを活用するのが当たり前になっています。
情報サイトでは、自分の望みの条件を入力して検索をかければ簡単に希望する企業が抽出できるので、一人で数十社を受験する学生が少なくありません。
都心の学生のなかには、100社を受験するつわものも出ています。

学生側はインターネットから簡単にエントリーできるので便利ですが、面接をする企業側はなかなか大変です。
大勢の受験者から人材を選ぶため、ある程度は筆記試験だけで判断せざるを得ず、面談の時間も十分に確保できません。
このため人材のマッチングに配慮した採用が難しくなってるのです。
そのうえ、一人で何社も受けて複数の企業から内定を受けても入社できるのは一社だけですから、内定辞退者が増えるというデメリットもあります。

受験料制度で内定取り消し者が激減

ドワンゴはこのような悪循環に異をとなえ、昨年度から「受験料制度」を採用しました。
本当に就職をしたい学生だけに来てほしいとして、首都圏の受験者から2,525円の受験料を受け取ることにしたのです。
その結果、応募者数は前年の36.8%と大幅に減少したものの、内定承諾率は前年比125.5%に増加。
大きな効果を得ています。
ドワンゴは予想通り結果だったと述べており、引き続き受験料制度の実施を決定しました。

しかし、東京労働局から受験料制度が就職採用活動の手数料と見なされない可能性があると指摘され、来年度の実施を取りやめるよう指導しました。
そこで、去年はドワンゴが提供するニコニコ動画にちなんで2,525円だった受験料を、今年は手数料6,000円を受験者とドワンゴが折半する形を取り、3,000円の受験料を徴収します。

受験料が発生するのは東京、神奈川、埼玉、千葉に住んでいる学生のみ。
このほかのエリアの住んでいる学生は、無料で受験できます。

(参考サイト)
http://info.dwango.co.jp/pi/ns/2014/1112/index.html

本当に働きたい人だけに来てほしい

日本の会社はそれぞれ社風が異なり、同じ業種でも会社によって職場環境はがらりと変わります。
このため、せっかく望みの業種に就職できても会社の社風になじめず人間関係で悩み、退職してしまう新人も少なくありません。
会社側にとっても、就職できるならどこでもいいという社員ではなく、この会社で働きたいという強い熱意を持った人材を求めいます。
お互いが必要とされるのがベストですから、就職前のマッチング対策は今後ますます重要になると予測されます。

学生からお金を取る受験料制が、マッチング効果を上げるための最適な手法であるかどうかの議論は別として、就職活動の矛盾に疑問を投げかけ、私たちに適切な就職活動について考える機会を与える活動だと評価できます。

逆求人型サイトとは

学生の就職リスクを分散

2015年から就職活動の開始時期が繰り下げられ、3月1日に変わりました。
就職スケジュールが変更になって不安を抱く学生も多く、就職活動の内容にも変化がみられます。

その一つが「逆求人型サイト」の活用です。
これまでの求人サイトでは、学生側からアプローチをするのが一般的でした。
しかし就職活動の開始時期の変更を受けて、逆求人型サイトに登録する学生が増え、就職浪人になるリスクを分散させています。

逆求人型サイトとは学生が、自己ピーアールや写真などを使ったプロフィールを求人サイトに登録し、一方の企業も自社に関するプロフィールを登録します。
学生は企業プロフィールから好みの会社を選んで、就職活動ができますし、逆に企業が、個人プロフィールを見て、希望する学生に直接アピールすることも可能です。
つまり企業から、うちの会社に来てくださいとアプローチがきるのです。

実は、企業側も不安

今回の急なスケジュール変更に、企業サイドも戸惑いを隠せません。
調査によると8割以上の企業が、採用に不安を感じていると答えています。
不安を抱える企業が少しでも自社にマッチした人材を確保するため、会社から学生にアプローチする「ターゲッティング採用」を導入するケースが増えています。

マッチングが大切

学生は自分に合った企業を求め、企業は自社にマッチした人材を求めているのですから、お互いの利害は一致しています。

せっかく就職できたのに社風が合わなくて、こんなはずじゃなかったと入社したことを後悔しないように、まずはお互いのことをよく理解し合うことが大切です。

逆求人サイトでは企業も学生も、互いに自己アピールができ、どちらからもアプローチができます。
このため、高いマッチング効果が期待できます。

イベントも開催

このような事情で、にわかに注目が高まる逆求人サイトですが、実際にどのように活用していいのかわからない学生や企業が少なくありません。
そこで人材情報サービスのアイデムが2015年3月1日、逆求人サイトが体験できるイベント・JOBRASS ReaL 2016 合同企業説明会を開催しました。

イベントには関西テレビ放送、伊藤ハム、吉本興業、関西電力、大日本住友製薬など52社が参加。
各企業のブースで人事担当者と交流できるだけでなく、就活アドバイスコーナーも設けられました。
就活アドバイスコーナーでは、企業からオファーをもらうためのメイクや身だしなみなどを具体的にアドバイスしてくれます。
このほかにも就活相談ブース、企業の若手社員のパネルディスカッションなど、就活を応援するコンテンツやセミナーが行われました。

これまでは学生側からアプローチするという一方通行だった就職活動でした。
しかし今後は就職活動も変化し、双方からアプローチをするマッチング型の就活が増えると予測されます。

インターンシップ制度への注目

インターンシップとは?

就職をする前に、実際にその企業で働けるのがインターンシップです。
2015年度卒業予定の、現在の大学3年生から就職活動開始時期が変更され、3月1日からとなりました。
開始時期を変更したのは、大学の本来の目的である勉強時間を確保するためや、近年減少している留学を促すためなどが挙げられていますが、インターンシップの実施も理由の1つです。

昨年度に内閣府が実施したアンケート調査から、企業と人材とのマッチングの高さは、企業に対する理解の深さに比例することがわかりました。
このため、インターンシップによる企業での就業体験を通じて、自分がその会社に向いているのかどうかを判断する機会を得てほしいと期待しているのです。
政府は大学の1年生であっても、興味のある会社のインターンシップに積極的に参加して、さまざまな職場を体験してほしいと呼びかけています。

実際に、2014年でまではインターンシップを実施する企業は28%程度でしたが、今年度に入って実施企業は43%に急増していおり、インターンシップは企業にも学生からも好評を得ています。

日本のインターンシップは世界標準ではない

日本ではまだなじみの薄いインターンシップ制度ですが、アメリカなど海外では盛んに行われています。
しかし、日本のインターンシップはアメリカなどの海外のインターンシップとは内容が異なるのです。

アメリカなどではインターンシップの期間は2カ月~3カ月の長期間にわたって行うのが一般的で、給料も支払われますから社員に近い立場で働きます。
企業が学生の働きぶりを見て採用を望めば、そのまま就職することも可能です。

しかして日本ではインターンシップの期間は長くて3週間、短い場合は1日で終わります。
日本で行われているインターンシップは、海外ではエクスターンシップと呼ばれる制度と非常に似ています。
日本のインターンシップとエクスターンシップが異なる点は、日本では就活生が対象であるのに対し、エクスターンシップでは主に1年生と2年生が対象であることくらいです。
つまり日本では、社員に近い立場で本格的に働くのではなく、見学者・お客さんといった立場でプチ体験をすることをインターンシップと呼んでいるのです。

インターンシップの内容もピンからキリまでで、日本ではインターンシップがまだ本格化しているとはいえないのが現状です。
単に説明会で企業ピーアールだけを行うところもあれば、ロールプレイングによる実習や、実際に業務を体験させるところまで、プログラムの充実度に濃淡があります。

インターンシップとは会社と学生のリトマス試験紙

しかし、日本のインターンシップにも長所はあります。
日本のインターンシップは実施期間が1日など短い場合が多いため、いくつもの会社を体験できることです。
複数の企業を比べることで、より自分に合った企業を選択でき、就職してから社風が合わないと悩むリスクが減らせます。
しかし、この長所を生かすためには、会社側がインターンシップで何をするのか、そしてその目的は何であるのかといった具体的なプログラムを、事前に学生に知らせることが大切です。