人事録

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リコーの出向命令が無効に

違和感のあるニュース

人事として、すごく考えさせられるニュースがありました。
これは、リコーが行った子会社への出向が無効になったというニュースです。
これ、細かいニュースを拾ってみたらいろいろと違和感がある話なんですよね。

まずは概要から。
簡単に説明すると、リコー側が40代と50代の男性に対して退職推奨を行いました。
しかし二人がこれを拒否したため、「退職をしないのであれば、意に沿わない仕事をしてもらうことになる」と発言をした上で物流センターへと移動に。社員二人は、「これまでとまったく違う仕事に回され、自主退職をさせようとした会社側の陰謀」として訴訟に踏み切ったということです。
この訴訟での判決が、「自主退職をさせるために全く違う部署に異動させた」という社員二人の言い分を認めたものになり、「子会社への出向は無効」というものでした。人事権の乱用を認めたということですね。

このニュースを見た時、この社員二人に対してもいろいろと思うことがありました。
そもそも、出向となった理由はなんなのか?はっきりいえば仕事ができず会社が持て余していたからなのではないか?という感想も持ちました。
しかし、その後に調べてみたら「この社員は非常に優秀で、これまでに特許を100以上とりリコーに貢献してきた」ということが解りました。

会社のためを思う人事とは

ニュースだけの話なので、すべてを鵜呑みにすることはできませんが、この話だけを信じるのであればリコー側に非がありますね・・・。
きちんと結果を出してきた社員を子会社に出向させ、それも検品やシール貼りなどの仕事をさせるというのは、人事をやっている私にとっても不可解です。
社内で表彰された人材をこんな風に扱うなんて・・・。

さらに突き詰めて記事を調べてみると、リコーは業績が悪化したことから自主退職を募っていた様です。
一万人の人員削減を行うと発表したそうで、その中にこの技術者二人が入っていたというわけですね。
特に最近は定額制・刷り放題のプリンターサービスなどが出てきていますし、リコーはかなり苦しい状態のようです。
今は日本の家電も調子が良くなく、どこも大変な時代なのでこういう結果になったのかもしれませんが・・・こういうことをやってしまう企業は、どうやってもいい業績にはならないんじゃないのかな?と思う自分もいます。
だって、私が聞いても理不尽すぎると思いますからね。

私も人事の仕事をしているので、少なくともこういう間違いだけは侵さないようにしていきたいと思いますね。
会社のためを思う人事とは何なのか、そういうことをきちんと考えた上でいろいろなことを判断していきたいと思います。

人事の仕事のやりがい

一番のやりがいとは

人事の仕事のやりがいはいろいろありますが、一番は「自分が採用した人が、もしかしたら会社ですごいことをやってくれるかもしれない」という期待があることでしょうか。
もちろん、あたりの人ばかりが引っかかるわけじゃありません。正直言って「コイツは入れない方が良かった」と思うこともたくさんあります。
私が採用した人が、入社後数か月でやめちゃった・・・なんてこともありましたし。

でも、稀に「人事やっていてよかった!」と思えるようなすごいラッキーがある。
人事の仕事の面白さって、そういうところにあるのだろうなって思います。

前にこういうことがありました。
私が採用試験を担当して、部署まで手配した新人くん。
おどおどしていて周囲からは「やめた方がいのじゃないか」と言われた人材だったのですが、私は「この人は確かにおどおどしているけど、受け答えの内容はいいし、人柄に誠実さも感じる。仕事に慣れたらすごい力を発揮してくれるのではないか」と感じ、採用しました。

その後、本人の資質を見ながら人事を行い、担当部署を決めるところまで私がやりました。
反対を押し切ってまで入れた手前、「どうなるのかな」と不安に思うこともありましたが、メキメキと頭角を現した彼はその部署でなくてはならない人材に育ちました。
将来的に、彼はうちの会社の出世頭になるのじゃないかな?と思います。

また、販売部門でまったく成績が上がらなかった子を経理に入れたところ、社内のほとんどをシステム化して仕事の効率が一気によくなったという例もあります。
こういう結果がでると、「ああ人事をやっていてよかった」と思いますね。
それだけじゃなく、自分が採用した人がニコニコしながら仕事をしていると「ああ、楽しんでくれてよかったな」という気持ちにもなります。そういう意味では、いいこともたくさんある部署です。

大変な分だけやりがいがある

会社を動かす「人」を育てる人事の仕事は、やっぱり大変。
でも、大変であるだけに「自分の見る目を養おう」という気持ちにもなりますし、そういう意味では本当にやりがいがある仕事です。
ただ、自分に厳しくなければできない仕事でもあるので、大変といえばすごく大変な仕事でもありますね。
でも、「人事をやってみたい」というひとのことは個人的には応援したいです。

人事の仕事には難しいこともたくさんありますが、ぜひとも多くの人に挑戦してみてほしいですね。良い人材をたくさん雇うことができる人材がほしいです。

人事に向いている人って?

答えを出すのは難しい

人事に向いている人・・・難しい話ですね。
私はこうして人事の仕事をさせてもらっていますが、、だから人事が向いているか?と聞かれたら「そうでもない」と答えると思います。
はっきり言って、自分でも「向いている」とは言えないかな・・・。

でも、たぶん「人事に向いてる」と答えられる人ってそういないんじゃないかな?と思いますね。
私が思うに、人事の仕事って自信を持ったら終わりみたいなところがあるですよ。
なぜなら、常に疑問を持ち続けなければならない仕事だから。

だって、採用って常に「この人でいいんだろうか」「本当にこの人がうちの会社の片腕になって働いてくれるのだろうか」という疑問を持ちながらやっていくものですよね。

そこで「俺の目に狂いはない」と思う人もいるかもしれませんが、人事を長くやっていれば「採用した人がやめちゃった」なんてこともたくさん出てくるわけですよ。
そういうことが一度でもあれば、はっきりいって自信なんて持てないのが当たり前です。

だから、人事って常に自分との戦いというか「これでいいんだろうか」という気持ちを持ち続けていなくちゃいけない仕事かな・・・と思うんですよね。

自分に厳しい人

人事の仕事というのは、はっきりいって同じことの繰り返しです。
たくさんの学生をみて、そこで誰がいいかを判断して、採用したら人材育成をしていく。

すごく大事な仕事なんですけど、長くやっているとだんだんだれてくるというか、「もうこれでいいや」と投げ出したくなることが出てきます。
仕事にマンネリを感じることもあります。
でも、それじゃいけない。
採用するかしないかでその学生の人生が変わることもあるし、会社の未来だって変わるかもしれない。

そう思ったら、絶対に手を抜くことはできないんですよね。
それを意識しながら仕事ができるかどうかっていうのはすごく大事だと思います。
実際、私なんかは「もうやめたい」と思うことはしょっちゅう。
「もうこれでいいや」なんて投げやりになってしまうことだってたくさんあります。
でも、それじゃダメだと思っているから気持ちを奮い立たせているわけで。

大変だけど、やりがいみたいなのはすごく大きい仕事だなあとおもうわけです。
ある程度自分に厳しい人じゃないと、この仕事は続けられないんじゃないかな。
でも、厳しい人じゃなければそもそも人事に抜擢されることはないような気もします。
人事の仕事は本当に大変ですが、自分が採用した人がこの会社を変えるかもしれない・・・という緊張感もある仕事なので、そういう意味ではオススメかな。