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健康食品表示に新制度

食品の健康効果の表示が可能に

消費者庁は3月2日、機能性表示食品制度のガイドラインを公表しました。
今夏にも新制度として導入される予定です。
機能性表示食品制度とは、その食品がどのように体に良いのかを表示できる制度で、表示内容に企業が責任を持つというものです。

新たな制度では商品のパーケージのよく見える場所に機能性表示食品と明示され、含まれる成分と健康上の効果を表示できます。
たとえば、○○という成分を含み胃腸の働きを整える機能があると報告されていますなど、その商品を食べれば健康効果が期待できると伝えられるのです。

これまで食品表示の規制は厳しく、食品業界側ではもっと訴求効果の高い表現で商品をアピールしたいという強い要望がありました。
現制度では、若返り効果がありますなど一定の効果を強調するような表記は禁止されているからです。

第3の表記制度

食品の機能表示には、トクホと呼ばれる特定保健用食品と栄養機能食品があり、今回の新制度は3番目の表記制度となります。

購入した食品にどのような健康効果があるのかは、消費者にとって気になる情報です。
○○に効果があると表記できれば購入意欲が一気に高まり売上も上がりますから、新表示制度は大きなビジネスチャンスだといえます。
そこでアベノミクスの戦略の1つとして、第3の表記制度である機能性表示食品制度の設置が検討されてきたのです。
このほど検討結果がまとまり、実用化が目前に迫ってきました。

売り上げを取るか? 消費者の健康をとるか?

トクホは国がその効果と効果を表示する内容を審査し、審査に通らなければ許可されませんが、今回の機能性表示食品制度は、発売の2カ月前に消費者庁に健康効果を申請すればよいので、時間をかけずに商品化できるのが眼点です。

また、対象食品もサプリメントや加工食品にかぎらず、くだものや野菜などの生鮮食品にも適用されるようになりました。
これによって農作物の売上アップを期待する声も高まっています。
しかし一方で、国が責任を持たず、企業だけに責任を負わせる制度では消費者の安全が守れないと指摘する声も出ています。

この制度はアメリカの表示制度をモデルにしたものですが、アメリカでは効果の根拠を公開する義務がないため、本当に効果があるのか不審な食品もあります。
表示を信じて購入した消費者が被害にあって、死亡したこともありました。

この点を踏まえて、日本の制度では科学的根拠を証明しなければ表示は認めらないとする方針です。
また、制度がスタートした後は市場を調査し、健康効果や安全性に疑問がある商品は、表示の撤回を求める場合がある決めました。

経済的効果と消費者の安全確保のバランスが取れるかどうかが、新制度導入の成功のカギとなると考えられており、企業側からは表示の規制が厳しすぎるとの声も出ています。
また、安易な効果表示は誤解を招きやすいため、消費者からのクレームの原因となることも考えられます。